円安と企業経営

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円安と企業経営

円安がどのように経営環境に影響するかが理解できれば、他社に先駆け競争優位の経営戦略を実行できる。

 円安でまず問題になるのは、輸入価格の高騰です。完成品はもちろん、製品サービスの原材料、石油、石炭、LNG、鉱物資源、食品等の様々な輸入価格が高騰します。仕入れ先からの調達コストが上昇し、付加価値(V)を圧迫します。価格を上げ、付加価値を維持できれば問題ないのですが、消費者の購買力に依存します。

 もし、受け入れなければ販売数量(N)は減少し、計画利益を確保できなくなります。価格の引き上げは非常にデリケートで難しい問題です。一方、価格を引き上げなければ、仕入れ調達価格を引き上げる原資を確保できず、大切な調達先の経営を圧迫するかもしれません。消費者優位にパラダイムシフトしている現在、従来の経営スタイルでこの問題を解決し、切り抜けるのは難しいことです。

 一般的に貿易では為替予約を前提に輸入するので、実際の為替変動が輸入価格に影響するまで半年から一年近くの期間があります。その期間でどのように経営戦略変更するかで競争優位を維持できるかが決まるでしょう。日々のコスト削減努力は当然ですが、販売数量(N)を増やすため海外の輸出先を増やす、PPMに沿った製品の入れ替え、価格戦略の見直し、PLM最適化を再考、市場投入順序を早める、入れ替える、あるいは付加価値(V)を高める開発計画を修正するなど、経営が事前に準備すべき事項は多岐にわたります。

 為替変動は経済がグローバル化した現在、企業経営が考慮しなければならない大切な要素の一つです。不確実な将来を見定め、必要な知識の蓄積、社員教育を生かす体制があって、為替変動に迅速、柔軟に対処、競争優位を維持し、経営存続を実現する経営が可能になるでしょう。