と企業経営

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と企業経営

がどのように経営環境に影響するかが理解できれば、他社に先駆け競争優位の経営戦略を実行できる。

 円でまず問題になるのは、輸出先での価格高騰です。完成品はもちろん、製品サービスの原材料、特殊素材、果物食品等の様々な輸出品価格が輸出先で高騰します。当然ですが、何も手を打たなければ、消費者価格は高騰し、競合他社との価格競争力低下で、販売数(N)減少、売上利益減少に向かいます。

 一方、製品・サービスの原材料、エネルギー資源等の輸入価格は低下します。調達先の製造原価を押し下げ、彼らの利益は増加します。常に、取引先から調達コスト削減等を求められる中小零細企業にとっては経営利益を確保し、賃金引上げ、社内留保蓄積、設備投資、開発投資、教育投資などで経営安定を狙う絶好の経営環境でしょう。

円高は、輸出販売数量(N)が減少し、輸出利益を減少させますが、輸出価格引き下げで販売数量(N)維持を目指し、調達仕入れ価格の引き下げを過度に要求すれば、調達仕入先の経営利益を剥ぎ取ることになります。共存共栄するために構成されているサプライチェーン上の企業は、為替変動による様々な影響を受けながら存続しなければなりません。

製品サービスの競争力に必要な付加価値(V)を高める開発投資は、大企業だけが行うものではありません。約9割を占める中小企業の技術力によって、日本企業の製品サービスの競争力は維持されているといも言えます。円高による下請け、調達先の利益の一部は彼らの付加価値(V)開発投資に使い、サプライチェーン全体で生産販売する製品サービスの競争力強化に充当することは大変重要です。そのリーダーシップをチャネルリーダーの大企業が担うべきでしょう。

 一般的に貿易では為替予約を前提に輸入するので、実際の為替変動が輸入価格に影響するまで半年から一年近くの期間があります。その期間でどのように経営戦略変更するかで競争優位を維持できるかが決まるでしょう。日々のコスト削減努力は当然ですが、販売数量(N)を増やすたに新しい海外の輸出先を増やす、PPMに沿った製品の入れ替え、価格戦略の見直し、PLM最適化を再考、市場投入順序を早める、入れ替える、あるいは付加価値(V)を高める開発計画を修正するなど、経営が事前に準備すべき事項は多岐にわたります。

 為替変動は経済がグローバル化した現在、企業経営が考慮しなければならない大切な要素の一つです。不確実な将来を見定め、必要な知識の蓄積、社員教育を生かす体制があって、為替変動に迅速、柔軟に対処、競争優位を維持し、経営存続を実現する経営が可能になるでしょう。