為替変動と企業経営

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為替変動と企業経営

為替変動によってサプライチェーンはどのような影響を受けるか。

 企業経営に影響を与えるデフレ、インフレは、実体経済循環の需要と供給のGAP(ニーズ、あるいは数量)によって発生します。経済が発展し、グローバル化している現在では、為替変動による輸出入価格の変動が実体経済にデフレ、インフレと似たような影響を及ぼします。

 一般的に基軸通貨ドルに対し円高になれば、輸入価格は低下し、サプライチェーン上流の中小零細企業の原価が低下、利益が増加します。一方、輸出相手国では価格上昇を招き、輸出相手企業の利益を圧迫します。良好なサプライチェーン関係を維持するため、輸出企業が相手と価格引下げ調整等を行えば、輸出企業の売上利益に影響します。また、その悪影響をサプライチェーンの下請け企業からの調達価格削減で埋め合わせれば、円高による下請けの利益は輸出企業に吸収されていきます。

 反対に円安になれば、円高と反対の現象が起きます。輸入価格は上昇しサプライチェーン上流の中小零細企業の原価が上昇、利益を圧迫します。一方、輸出相手国では価格低下で輸出相手企業の利益向上をもたらします。良好なサプライチェーン関係を維持するため、輸出企業が相手と輸出価格や数量交渉を行えば、売上利益増加が見込めます。また、円安によるその利益をサプライチェーンの下請け企業からの調達価格上昇に使えば、円安による輸出企業の利益は原価上昇に悩む下請け企業に還流していきます。

 為替変動は、サプライチェーンの上流から、あるいは下流から経営を圧迫する現象が起きます。どのようにコントロールし、共存共栄を図るか業界全体で考え調整することで、サプライチェーンの上流、あるいは下流で働く国民とその家族の生活維持、向上に貢献するはずです。

 日本全体の就業人口の数、分布を考慮すれば、円高による中小零細企業の利益向上に貢献できる為替環境が望ましいのは言うまでもありません。